各科よりこの1年を振り返って

各科よりこの1年を振り返って

 

普通科 梅村

新型コロナウィルスに振り回された2020年度は、子どもたちと先生方が底力を発揮して「創り上げた」1年でもありました。

臨時休校、部活動の大会や諸行事の中止など、悪夢を見ているような日々の中で、先生方は電話面談や動画作成で子どもたちの気持ちを奮い立たせました。それは再開後の学年集会での生徒発表につながり、ある部活動では、一度引退を決めた部員たちが最後の大会まで頑張ろうと復帰しました。先生方の取り組みが、このままでは終われないという生徒の気持ちを呼びおこしたのです。よりよい高校生活にしたいという子どもたちが本来持っている底力が発揮された瞬間でした。

つかの間の夏休みを挟んで迎えた2学期。 例年にない条件の中でも、子どもたちは立派な学園祭・体育祭を作り上げてくれました。『オールライト・ニッポン』をテーマに、いま自分たちにできることを考え、希望の灯りを発信してくれました。全校生徒の前で書いた書道パフォーマンスによるバックパネルや、コロナ対応の新しい体育祭は見事でした。

行事ばかりではありません。3年生は厳しい進路状況に負けず、就職・進学ともに例年と変わらない結果を残しました。1・2年生は英検全員受験で近年にない好成績でした。どちらも生徒と先生が向き合い、2人3脚で取り組んだからこその成果でした。

例年どおりにはできないことも多かったけれど、何ができるかを自分たちで考えた、手ごたえのある1年となりました。

音楽科 吉村

コロナ禍で対面レッスンができない!合唱も合奏もできない!演奏会もできるのだろうか?そんな年度の始まりでした。ゴールデンウイーク明けからすぐにオンラインでの個人レッスンを開始。休校期間中は朝のSTをオンラインで行い、8時から朝ドラの「エール」を観させて9時からソルフェージュ、音楽理論・・・。毎日のように教員がその日のニュースや聴いた音楽から感じたことをメールで送信し、それについてどのように思うかを返信させコミュニケーションを取りました。また、3年生とは「卒業演奏会をプロデュースする」という題材で論議をし、休校期間後もそれを続け、パンフレットの作成、3年間の想いを込めた動画と歌。1人1人の演奏に対する想いを、演奏だけでなくステージ上からことばで伝えるという初の試みを行ないました。来年度の入学生に卒業演奏会の感想を聞くと、「他の音楽科の演奏会では感じる事ができない生徒1人1人の強い想いが伝わってきて、私もあのステージに立ちたいと思いました!」と話してくれました。普段通りにできないことで、生徒とともにたくさん考え、知恵を絞る連続でしたが、それこそが大切だと感じた1年でした。

 

英数科  樋渡

緊急事態宣言でスタートした新年度。いつ学校が再開されるのか、進度は受験に間に合うのかという不安を抱えました。自宅待機が続き、まずは自宅学習プリントを配布。授業もなく、未習範囲は理解できるだろうか。要点をまとめた動画を作成し、各家庭に配信しました。慣れない作業で、要領もつかめません。休校が続くにつれ、学力以上、生徒の精神状態が心配になりました。4月下旬、小グループに分け、教室で自習させながら順番に面談。誰とも会えないさみしさを緩和したいという狙いもありました。久しぶりに会えた嬉しさが満面の笑みとなり、その笑顔は今も目に焼き付いています。

ビッグイベントである修学旅行。緊急事態宣言の中、2年3月へ約半年間延期しました。感染状況が改善されず、中止という文字が頭によぎりましたが、なんとか行かせてあげたい。父母、先生方の理解の中、実施することができました。こんな時代ですが、こんな時代だからこその修学旅行を実施することができ、より一層子供たちの心に刻まれたに違いありません。

ズームでの授業も準備。いつでもできる体制を築きました。しかし、ズームはあくまでも備え、対面授業に勝るものはないと考えています。感染予防を万全にし、これからも対面による授業にこだわっていきます。

高等部 石黒

2020年度は、計画を立てては考え直す毎日からスタートした。1年が終わった今振り返ってみると、新しいことへのチャレンジの1年であった。今まで通り出来ないことへのもどかしさを感じつつも、今出来る最大限のことをしようと頻繁に職員同士で話し合った。

例えば修学旅行。高等部は例年、オーストラリア語学研修旅行を修学旅行の代わりに実施してきた。オーストラリアでの経験から学ぶことはたくさんあり、研修の中止は本当に悔しい思いであった。しかし、渡豪できないのであれば、自分たちで修学旅行を計画しようと考え、「普段気づかない日本の新たな一面を発見」というテーマで、グループ毎にプレゼンテーションを作成。発表会には旅行会社の方にも来ていただき、生徒投票にて行き先や内容を決定した。そして、もちろん行っただけでは終わらない。この思い出深い修学旅行で発見した日本の良さを英語で表現し、オーストラリアの中学生に送る予定でいる。

また、卒業式においては、保護者の方が教室の飾り付けをして下さった。最後のHRに保護者の姿はないものの、その温かい思いを教室全体から感じる取ることができる素敵な時間となった。

既存のものにとらわれず、新しいことに挑戦する楽しさを感じた1年。これからも人数が少ない高等部だからこそ、その時の生徒に合わせた教育を行っていきたい。挑戦はまだまだ続く!

中学校 守屋

「当たり前のことが、本当は当たり前ではない」、ということに気づかされた1年でしたね。本来ならば、笑顔あふれ、いつも笑い声が絶えまなく聞こえる中学校の校舎が6月まで静寂に包まれていました。皆さんが登校し、息を吹き返した学校。自然に「ふっ」と笑みがこぼれてしまいました。今でもあの時の喜びは忘れません。

通常の生活に戻ってからの、皆さんの成長は目覚ましいものがありました。桜丘中学の真骨頂は、なんといっても日々の体験からの学び。学校が始まるや否や、水を得た魚のように、皆さんはさまざまなことに前向きにチャレンジしていましたね。

日常の何気ない生活の中に散りばめられている多くの体験を通して、皆さんがどんどん輝いていくのを目の当たりにして、「普通に学校があるということは、本当に素晴らしいことなんだ」と痛感しました。

この一年の歩みをしっかり心に刻み、今まで以上に何事にもチャレンジし、一日一日を大切に過ごして下さい。