コロナ禍で「できること」を編み込んだ愛情あふれる卒業式 高・中

高等学校

卒業式を終えて、今思うこと

特色教育部長 小林 寿来

1.はじめに

2021年2月19日(金) 卒業生606名は、この3年間で育んだそれぞれの「愛」を胸に刻み、桜丘を巣立っていきました。

私たち教師は、生徒と一緒に過ごしていた当たり前であった日常が、この日を境になくなってしまい、少し寂しさを感じています。「泣いて、笑って、喧嘩して」という青春の日々を共に過ごせたこと、その中で君たちが成長していく姿を見守ることができたこと、全てが良き思い出として心に残っています。とても充実した中身の濃い3年間でした。この卒業式を振り返り、私自身が今思うことを書き留めておきたいと思います。

 

2.答辞の深読み

答辞の深読みをするにあたり、実際に当日読み上げられた導入部分※をなぞらえて解説をしていきたいと思います。

『私たちの学年が、生徒たちに手渡した3年間の課題。 「愛」。

こんなに「愛」という言葉を深く考えた高校生たちはいないだろう。

「愛って何?」。「暑苦しい、恥ずかしい」。予想通りの反応に手ごたえを感じた。

1年の頃の生徒たちはこの課題の意味を受け止められずにいた。

この漠然とした課題の答えを見つけるまでの過程が、今年の答辞の中に刻まれていた。』

この学年の自主活動目標は、「愛」。この言葉を目標として掲げて、1年次:クラス愛、2年次:学年愛、3年次:学校愛と位置付けました。目標にしたのは良いのですが、「愛」という言葉は、大人である私たちでさえなかなか言い表すことはできません。生徒たちは、この難しい課題を日々の学校生活の中で1つの答えを導きだしました。気持ちが伝わらずに苛立ったり、諦めたり、怒りをぶつけたり・・・。この過程には、青年期の葛藤や苦悩があったはずです。仲間や教師、そして親と真剣に向き合ったからこそ、「愛」という課題の答えを見つけることができたのだと思います。100人いれば100通りの「愛」の形。今回の答辞には、606名の「愛」の形が刻まれていたのです。

 

3.振り返ると

この答辞の内容に限らず、今回の卒業式には様々な形の「愛」が凝縮されていました。多くの方々の「配慮」や様々な「工夫」によって「特別な」卒業式を執り行うことができました。改めて感謝を申し上げたいと思います。

卒業式前日の粉雪舞う予行練習は感動的でした。制限されたことによって予行練習に参加できない在校生たち。ベランダに並び、そこから降り注がれる温かい拍手と眼差し。コロナ禍だから生まれた「特別」な演出だったのではないでしょうか。学校中の笑顔が集まった瞬間でした。

 

4.「愛」を紡ぐ作業

答辞の制作過程を例えるなら「愛」を紡ぐ作業。実行委員会の生徒たちは、全科3年生から集めた言葉を丁寧に選別して、1つにまとめ上げてくれました。緊張感に包まれた打合せの中から生まれる言葉の1つ1つには、606名の「愛」が見事に込められていたと思います。例年以上に「桜丘」が大切にしている「温もり」を感じることができた卒業式でした。

※答辞原稿より(導入部分)

≪3年間の宿題『愛』≫

私たちの学年が渡された、3年間の宿題。

これまで深く考えたことはなかった。

「愛ってなに?」、「暑苦しい、恥ずかしい」。

1年生の私たちは分かろうともしていなかった。

この漠然とした宿題の『答え』が、今の私たちにはわかっている。

中学校

『大好きな26期生へ』            川合 教子

3年の月日はあっという間に過ぎ、卒業を迎えることができました。

26期生は人なつっこく元気のいい子たちが多く、いつも笑顔で接してくれました。私の想いは26期生が入学してからずっと一緒です。『26期生が毎日楽しく笑顔で過ごせること』そのために、私たち教員ができることは一緒になって行ってきました。この3年間、26期生はどんな状況におかれても、それを仲間と協力して乗り越えてきた姿を見せてくれ、その姿に何度も助けられました。コロナ禍でも心配しているのは大人であって、26期生は自分たちの未来を自分たちで変えていくことを、ミュージカルの舞台で実証してくれました。26期生で1つのことに向かって、楽しみながら活動し、それを乗り越えた後にみえた景色は、あの舞台を体験した人にしかわからないものです。だからこそ、とても素晴らしい経験を仲間とできたと思います。

この3年間でいろいろな経験をしてきました。大変でつらかったことも多かったと思います。友達とぶつかり、意見がくい違ったりして、涙を流したこともありました。それでも、その経験を乗り越えて、成長してきました。その姿を間近で見てきた分、この3年間での成長はとても大きなものだと思っています。桜丘中学校で経験したこと(机上または学校内で行われる学習だけではない)は全て、社会に出てから何らかの形で役立たせるための力になっています。まだまだこの先いろんなことがあると思いますが、ただ不安に思って、何も行動しないのではなく、これからも26期生なら前向きに仲間と共に明るい未来に向かってチャレンジしていけると思っています。自分自身に正直に、すべての人の成長を応援する姿勢を育てる。学年方針を実践し、自分を大切にし、そして仲間を大切にすることができました。

4月からは新たな環境での生活が始まります。そしてそこには明るく楽しい未来がまっています。だから振り返らず、前へ進んでいこう!

“ To the Shining Future ” 〜未来を変えるのはいつだって自分次第〜

26期生のこれからの未来が輝いているものであるよう願っています☆

『26期生の保護者の皆様へ』          川合 教子

3年前の入学時、26期生が入学するその日を私達教員は心まちしていました。新入生登校日には、26期生を歓迎するように校庭の桜がさきはじめ、その桜の花が満開になるように、26期生のお子さんの笑顔が満開に咲き誇っているのを入学式でみることができ、大変嬉しく思ったのを今も思い出します。そしてその笑顔のお子さんを見守る保護者の皆様のあたたかいまなざしが会場を心地よく包んでいたのも一緒に思い出されます。

“すべては生徒の幸せのために”大切な3年間を桜丘中学校で保護者の皆様と一緒に学年スタッフも頑張りますので、応援してください。生徒に寄り添い、ときには迫ることもあるかと思いますが、私達は常に生徒と向き合いながら、前向きに毎日笑顔で楽しく過ごせるよう努力していきますので、あたたかく見守ってください。そうお願いをしました。またこの3年間、私の想いは26期生が入学してからずっと一緒です。『26期生が毎日楽しく笑顔で過ごせること』そのために、保護者の皆様には私達と一緒にご協力していただけるようお願いばかりさせていただきました。

最後まで、お願いすることが多々ありましたが、お子さんの成長を一緒に見守っていただき、ありがとうございました。皆様のご理解やご協力があったからこそ、私たち教員も頑張れました。

ここまで子どもたちは、どんな状況におかれても、仲間と協力して乗り越える姿を何度も見せてくれました。その姿に私たち教員が何度救われたことか…。その陰にはいつもご家庭で見守っていただいた皆様の心の支えがあったことと思います。誠にありがとうございました。

保護者の皆様には、最後の年、コロナ禍のために様々な行事等で、苦労とご心配をおかけしました。そのような状況下であっても、学校を信頼しあたたかく見守ってくださった皆様のあたたかい善意に感謝いたします。

26期生の子供たちに本当に救われつづけた3年間でした。26期生の学年主任をさせていただき、幸せでした。本当にありがとうございました。