絆まつり

広報『桜丘』桜丘絆まつり

船越貴久

 

2021年3月11日。東北地方を中心に多大なる被害をもたらした東日本大震災発生から10年が経過いたしました。まずは、失われた多くの命に衷心より哀悼の意を表するとともに、大切なご家族、ご親族、ご友人を亡くされた方々、被災された多くの方々にお見舞い申し上げます。

この10年という節目は、桜丘学園にとっても『復興支援活動開始から10年』という節目になります。今年1年、募金や、現地支援活動などこれまで当たり前に行ってきた活動も、コロナウイルス感染症の影響により行うことが出来ず、10年支援活動を続けてきた私たちの中にも「仕方ない」という言葉で過ぎ去っていきそうな状態でした。

しかし、「心の支援活動」、「困っている人を見捨てない」、「見えない人にも思いを馳せて、誰かのために、みんなのために」、「言葉に責任もつ」と様々な魂を受け継いできたこの活動。「こんな今だからこそ、私たちがやらなければいけない」、「東北に元気を!桜丘の元気を地域に!」と思い立ち、2021年3月13日土曜日、多くの方々からご支援、応援を頂き、『桜丘絆まつり』を実施することができました。当日は、嵐の中ではありましたが、多くの皆様に来場頂き、その活気が午後には天にも届き、最後は快晴の中、無事まつりを終えることができました。

今の世界にも、東日本にもこの元気がこれからも送れるように、桜丘は進んでいきます。がんばろう東北!がんばろう日本!桜丘はいつも共に歩んでいきます。

 

以下、当日の様子まとめ

➀曇天に響く太鼓の音!魂の和太鼓演奏

嵐の中のスタート。ステージ企画の中止、プログラムの変更を余儀なくされる中、それでも、和太鼓部の熊谷先生、山口先生をはじめ、部員のみんなも、雨雲レーダーとのにらみ合い。「雨雲の隙をついて、絶対に演奏しよう」と強く願いながら、雨やみを待っていた。すると、曇天から一筋の光が差した。それを合図に、和太鼓の力強い鼓動が、まつりの始まりを告げる。2回目の演奏では、東北復興支援活動が縁で気仙沼から桜丘高校へ入学したOBの村上裕二郎が急遽、後輩たちと共に演奏を行った。その演奏は、来場者の心を打ち、運営スタッフの気持ちに火をつけた。

➁10年前からの思いをつなぐ。東北復興市は大盛況!

桜丘復興支援活動の伝統でもあった東北復興市を当日再現。地元企業(この企業も桜丘卒業生や、卒業生父母の関係する企業)と東北から品物を送ってもらい物産展を行った。孫だよりの会生徒が東北物産展で魅力や味を踏まえながら販売する様子や、料理部が山本製粉さんの協力を得て実施したマドレーヌ販売は、どの店舗よりも早く完売を迎えた。最終的には、ほぼすべての店舗で完売する盛況だった。

③「強く生きる・共に生きる・命を守る」。復興の「今」を知る式典

メインイベントとして実施した式典。パネルディスカッション方式で、復興支援活動の過去、現在、未来が感じられる内容となった。

その中で、村上裕二郎が震災への恐怖をこえて、話した内容を少し紹介したい。

(余震が起こった時、)「丁度、車を運転していました。あの余震(2021年2月13日、宮城県を襲った震度6強の地震)が来る前までは、『もう(震災の傷を乗り越え、)大丈夫だろう』と思っていました。実際、余震があったとき、当時の記憶や、染みついた恐怖から体が震え、しばらくそこから動けなくなってしまいました。親からも電話があり、その電話では、両親に心配をかけまいと、『大丈夫だよ』と言ったけれど、本当は大丈夫ではありませんでした。そんな時、遠く豊橋の地から、みんなが連絡をくれ、『大丈夫か?』『けがはないか?』と声を掛けてくれた。ものすごく勇気をもらった。」

 

何が正解なのか、何をするべきなのかより、困った人を見捨てない。人に寄り添い続けてきた桜丘復興支援活動。このように、活動で生まれた絆は、時間が経とうとも、忘れられることなく、それぞれの心の中に生きている。このような現地の方の思いに正面から向き合い、震災発生当時から現地に飛び込んだ桜丘。人と人をつなぐ絆を失わないように、この言葉や想いを受け止めたい。

④杉浦由先生の思いが作者の心を動かした!演劇部「タンポポ」の朗読劇!

震災を題材にした絵本の朗読劇を行った。光丘真理さんの『タンポポ~あの日を わすれないで~』という作品。たんぽぽの綿毛が飛んで行って、明るい笑顔の花がたくさん咲き、こどもたちが元気になりますようにと思いをこめられた絵本。この作品を朗読するにあたり、杉浦由依先生は、作者の光丘先生がどんな思いでこの絵本を書かれたのかなど、質問を送りました。すると、その質問に丁寧なコメントが戻ってきました。気持ちを受け止め、表現しようとする熱意が絆を生んだ瞬間でした。演劇部の朗読劇は、観ている人の目に涙が浮かぶこともありました。

⑤サッカー部が大活躍!ちびっこひろばも大盛況!

「誰でも参加しやすいように」と小さいお子さんがのびのび遊べる環境も準備していました。サッカー部の選手とマネージャーが一緒にボール遊びをする姿や、積み木遊びをする姿も。ひろばの運営に関して、全て0から考えて運営してくれる姿は頼もしく感じ、ちびっこがお母さんと一緒に嬉しそうに帰っていく姿に心が温まりました。

➅会場の全ての人の願いが叶った!焼きさんま企画!

風の影響であきらめざるを得なかった焼きさんま企画。この企画も、桜丘復興支援活動を語る上で、大切にしてきた企画です。値段の高騰や、不漁の影響もあり、近年実施できていなかった企画ですが、事前の練習会なども行い、満を持して臨みましたが…。実施の可能性を信じ、待ち続けました。昼過ぎ、風も収まり、実施できることに。河合亜希先生や小林寿来先生の熱意が、天を味方につけました。さんまを焼く香りが漂うと、「待ってました!」と会場中に笑顔があふれました。当日は、100匹用意したうちの30匹しか販売できませんでしたが、後日学校で当日手伝ってくれた生徒と共に、みんなで焼いて食べました。

➆絶対にできる!嵐の中の会場設営

運営面でも、生徒たちは大活躍!当日の朝、会場では晴れ間がのぞくにもかかわらず、雷注意報の関係で、屋外テントの設置ができず、さらに想定をこえた「竜巻注意報」が。これにより、さんまを炭火で焼くことも出来なくなった。しかし、「午後にはできる!」と一縷の望みにかけ、河合雄史先生、日本拳法部の生徒たちが、手早く会場を特別仕様にしてくれた。計画していた形ではなかったが、それを感じさせない運営ができたのはまさにこの行動力があったからこそだった。

 

➇コロナ対策もぬかりなく!丁寧な対応で来場者をお迎えする受付!

この砦が盤石であったことは、来場者の安心安全を守った。丹羽将先生、伊藤ま先生、彦坂先生、浜田先生、陸上部、チア部、学習クラブの生徒が丁寧に、わかりやすく受付を実施してくれた。コロナ対策も必須な状況下で、当日急遽ボードを作成し、来場者へ受付の流れを説明したり、会場内の人数をできる限り正確に把握したり、臨機応変に動いた。予想を上回る会場のレイアウト変更にも関わらず、「今何が必要か」を考え、変更を感じさせない対応に桜丘の底力を感じた。

 

➈まとめ

コロナ禍という制約の中で、復興支援の形は今まで通りとはいかないかもしれません。しかし、大切なことは、「同じことをやること」ではなく、「魂をつないでいくこと」「東北の方に何が出来るか考えていくこと」そして、「みんなに伝え続けていくこと」だと思います。今回の桜丘絆まつりは、『オール桜丘』というこだわりも持って作りました。生徒会執行部は常に企画全体の仕切りから、走り出し、後方支援まで走り回り回りました。ポスターやチラシ、チケットの作成も、美術部、アニメーション部、中学生徒会の顧問、生徒のみんなの力で作りました。企画の内容も、卒業生や、父母、OB父母など関係者のお力添えを頂きながら実施しました。現役の生徒、教職員はもちろん、これまで先輩や、地域の皆様が支えてきてくれたからこそつながってきたこの復興支援活動。さらに、『どんな状況下でもそれに立ち向かい続けてきた桜丘の力』があるからこそコロナ禍での「まつり」を実施することが出来ました。本当にありがとうございました。これからも、みんなとともに「心に寄り添い、人を助け、人を大切にできる」そんな活動を続けていきたいと思います。今後もよろしくお願いします。ありがとうございました。