平成31年度 愛知県私立学校経常費補助金についてのお知らせ

 愛知県は極めて厳しい財政状況の中で、県下の私立学校に対し多額の経常費補助金を交付され、私学助成の充実に力を注いでいます。この補助金は私立学校の教育に必要な経常的経費に対して補助されるもので、次の3点を主な目的として公私間格差の解消を目指すものです。

①教育条件の維持向上  ②父母負担の軽減  ③経営の安定化

桜丘学園は平成31年度に愛知県から総額512,277千円(高校555,698千円、生徒一人当たり295,942円)、(中学75,324千円、生徒一人当たり343,945円)の交付決定を受けました。この補助金収入をもって桜丘学園は父母負担の軽減、教育内容の充実、経営の改善に努め、効果を上げることができます。

ここに愛知県の経常費補助金についてお知らせするとともに、父母の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

助成金について

 平素より、桜丘中学校・桜丘高等学校による教育活動へ、深いご理解とご協力をいただき誠にありがとうございます。「私立学校振興助成法」が43年前の昭和50年、田中角栄内閣総理大臣の下、議員立法により成立した背景には、第一次オイルショックによる物価の急上昇により、全国で私学関係者が私学助成の充実と公私格差の是正を求める集会を開くなど数多くの陳情活動がございました。「私学教育の充実」と「父母負担の軽減」と「私学経営の安定」を目指した法の成立後も、陳情活動は毎年行われました。愛知県では「愛知方式」と呼ばれる経常経費の2分の1を補助する経常費補助と、学費の公私父母負担2対1の原則にもとづく全国一充実した授業料軽減制度が生まれました。幾度の予算が削減される危機を乗り越え、愛知の私学補助金制度はしっかりと堅持、充実されて令和二年度の制度確立まで歩みを重ねてきたのです。私学助成の充実と公私格差是正を求める私学運動・諸活動に対する父母の皆様とOB父母の皆様のご協力により、公私の学費格差撤廃をめざす粘り強い息の長い運動の成果がますます積み上がってきております。

愛知県による経常費補助金は愛知県大村知事及び県議会当局により平成31年度予算にて、経常費補助金が前年度比100.9%の242億9056万2千円、授業料軽減補助金は前年度比98.2%の113億6597万2千円となりました。愛知県の授業料補助は格差解消に向けて前進しました。今年度の概ね世帯年収350万未満無償から、令和二年度の愛知県予算では国の就学支援金制度の変更に伴い、概ね世帯年収720万未満が実質無償化と大きく改善されました。皆さまのご協力の賜物でございます。この場をお借りしまして感謝申し上げます。

桜丘学園は今後も助成金の拡充活動を推進して参ります。私立高等学校教育と私立中学校教育の発展のために、更なるご支援とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

理事長 満田 康一

第56回定期演奏会

音楽科は11月5日(火)豊橋市民文化会館に於きまして「第56回定期演奏会」を行いました。今年はオーディションを通過した11名の独奏、独唱と全員での合唱を演奏いたしました。

ヨーロッパ国際ピアノコンクール全国大会「金賞」の長井夏七さん(2年生)。東京国際声楽コンクール全国大会「第13位入選」の北河和珠さん(2年生)さん。北河さんの出場したコンクールの声楽アンサンブル部門で「全国第4位」入賞した12人を含む合唱。そして、最後の定期演奏会に向けてのオーディションに強い思いを込め立派な演奏をしたクラリネットの岡田蘭さん、佐藤花さん、ヴァイオリンの渡邉芽以さんなどに注目が集まりました。

会場は例年以上にお客さんが集まってくださり、普通科や桜丘中学校の父母、生徒、教員はもとより、音楽科の卒業生、卒業生父母、合唱団SakuraCantabileや桜リネットアンサンブル、豊橋ユースオーケストラの小中学生の姿が目立ち、ステージでの先輩や後輩の演奏を真剣に鑑賞していました。

1月15日(水)は「第55回卒業演奏会」です。こちらは、3年生全員がこの3年間の専門課程での成果を発表します。是非、ご来場くださいますようお願い申し上げます。

2019夏 君たちは輝いていました ~感動をありがとう!桜丘硬式野球部~

第101回目となる全国高等学校野球選手権大会。日本の夏休みと言えば「甲子園」と言っても過言ではありません。「プロ野球は観ないけど、高校野球は大好き!」という声をよく聞きます。高校生のスポーツマンシップあふれる姿は、感動を与えます。一試合一試合、プロではなくアマチュアだからこその危なっかしいプレーにドキドキしながら歓喜したり涙したり。今年の夏は桜丘にとって忘れられない夏になりました。愛知県予選での初めての決勝戦進出。これに勝てば甲子園!というところまで行くことができました。結果は準優勝。負けました。ここでの勝敗は天国と地獄。しかし、桜丘野球部員の姿は、ここ東三河の地、もっと言えば豊橋の地に大きな感動を与えてくれました。試合後、選手を労う沢山の電話やメールをいただきました。この場をお借りし、お礼申し上げます。

夏をもって引退した3年生部員にインタビューしました。高校生らしい素直な言葉や気持ちをお伝えします。

司:あらためて夏の愛知県大会、準優勝おめでとうございます!

部:(全員で)あざっす!

司:最初に、キャプテンに聞きます。このチームの良さは何ですか?

主:みんな本当に仲が良くて、みんな同じ立場という気持ちでやってきました。誰が偉いとかもなく、いつもみんなで一緒にやってきました。

司:桜丘高校野球部に入部した理由は?

部:自分は中学の時のクラブチームで憧れていた先輩が桜丘だったので、自分もそこでやりたいと思って入学を決めました。

司:杉澤監督の第一印象は?

部:すごく生徒思いでいい監督です。

司:そう思う人、挙手!(全員手を挙げる)

じゃあ、厳しいという人、挙手!(周りの様子を見ながら手を挙げる部員)

優しい人は厳しい人。両面あって初めていい監督だよね。

司:三年間を通して、一番辛かった時期は?

部:2年の秋にトレーニングが強化されて、その時が辛かったです。(多数頷く)

司:何か部内に変化があったの?

部:監督の気合が半端なかったです。

司:なるほど!他には?

部:練習の合間に卵かけごはんをどんぶり一杯食べるんですが、それがきつかったです。

一生分の卵かけごはんを食べました。(みんなで大笑い)

司:この3年生チームになって、この試合は自分たちのいい所が出せたなという試合は?

主:福井県の強豪校との練習試合で、ひとりひとりのいい所を生かすことができて勝てた

時は嬉しかったです。

司:応援団長!真っ黒に日焼けしてスタンド席を引っ張ってくれたね。心がけたことは?

部:自己満足にならないように、みんなが知っている曲を多く取り入れたり、監督のリクエスト曲を入れたりして、場面に合った応援をしようと心がけました。

司:打率の良かった君、ここぞの打席はプレッシャー?やったるぞ?どっち?

部:やったるぞ!です。打席に入る前に「この球が来たら打つ」と、だいたい決めていました。その読みが当たると自分も嬉しいです。

司:キャッチャーの役割は大きいと思うけど、気をつけたことは?

部:ピッチャーと意見が合わない時もたまにあるので、そういう時はピッチャーの意見を優先させたりして自分の考えを押しすぎないようにしました。

司:なんでサッカーではなく野球なの?

部:自分は小3から始めました。兄がやっていたから自分も自然にやることになりました。ここまで続けたのは、やっぱり野球が好きだから。

司:高校卒業後も野球を続ける人は?

部:(多くの部員が挙手。大学野球部や就職して草野球など)

・自分も野球はやりたいんですが、栄養学を学んでサポートする側になりたい。

司:桜丘野球部で頑張ってきた今、思うことは?

部:・辛いことも多かったけど、今は楽しかったことの方が心に残っています。

・辛かったことはこの先の人生の糧になるはずだから、頑張ってよかったです。

・野球を通して学んだことがたくさんあるから、部員や親や監督に感謝しています。

・辛くて野球が嫌いになった時もあったけど、このメンバーでこの学年で本当に良かったです。またいつかこのメンバーで野球がしたいです。

・キャプテンになってすぐケガをして、自分が引っ張るよりみんなに引っ張られて迷惑をかけたけど、最後の夏に自分たちの集大成を表現できてよかったです。

・毎日苦しい練習だったけど、努力してきたことは無駄じゃなかったと思えるので、今は気持ちがすっきりしています。

・毎日苦しかったはずなのに、こうして引退してしばらく経つと野球がやりたくなります。

・この準優勝は一生の宝物にしたいです。

・監督には野球だけじゃなく、人間としても成長させてもらいました。

・自分は家が遠くて通学だけで1時間半かかります。帰りは12時を過ぎることもあったけど、それでもお母さんは起きて待っていてくれた。そこから洗濯をしてくれ、朝には白い練習着を持たせてくれた。本当に感謝しています。

・大事な試合の日に背番号を忘れてしまった。朝早かったけど、お母さんがすぐに届けてくれた。それが一番の感謝です。

・お母さんの作るものは全部うまくて、特に自分はカレーやオムライスが大好きでよく作ってくれました。ありがとう!

(※ 部→部員 主→主将 司→司会)

インタビュー中、顔を見合わせてはニコニコして、誰かのコメントに大笑いし、そこには素の高校3年生の姿がありました。髪も伸びて、日焼けも少しさめて、だんだん大人になっていく淋しさを感じました。この夏の功績が自信になって、君たちの人生がますます輝きますように! (文責・竹内貴美)

 

【試合結果】 桜丘高校:Cブロック (1・2回戦シード校)

3回戦VS岡崎西高(13-2)  4回戦VS岡崎学園高(5-3)

5回戦VS豊橋中央高(9-8)  準々決勝VS安城東高(4-3)

準決勝VS至学館高(5-4)   決 勝VS誉高(1-8)

出場校数:188校(愛知県は全国で一番の激戦区)

生徒と繋いだ「平和」への想い

桜丘学園「平和の塔」建立30年記念事業

ピースリレー900~星野村から桜丘学園へ30年の歩み~

生徒と繋いだ「平和」への想い

ピースリレー900責任者 小林寿来

『この火から 遠ざかるまい 私たちの意志を 未来へ放つ』

1988年、ニューヨークで行われた第3回国連軍縮特別総会へ、星野村の「原爆の火」がリレーで運ばれました。その際、豊橋にやってきた「原爆の火」は、ランプに保存されました(鳥山氏保存)。

同年、本学園の学園祭で、クラス企画の展示と共に、この「原爆の火」が紹介され、この学園祭がきっかけとなり、「平和の塔」建立へとつながりました。建設するにあたり「100円玉で平和を」と言うスローガンを掲げて建設資金の募金を行い、全校生徒、教師、保護者、そして多くの市民からの協力によよって「平和の塔」建立に至りました。

1989年10月15日、本学園で「平和の塔」除幕式・点灯式を行い、星野村の「原爆の火」を正式に分火して頂きました。この「平和の塔」には、建立当時の平和宣言文の一節である「この火から遠ざかるまい 私たちの意志を未来へ放つ」という言葉が刻まれています。現在もこの言葉は本学園の平和学習の礎となり、30年が経過した今も、私たちの「平和への意志」として燃え続けています。

 

「ピースリレー900」が、星野村と桜丘学園を結ぶ

30年間、桜丘学園の平和のシンボルとして灯し続けてきた、広島原爆の残り火。長い間、私たちの学園が歩みを止めることなく、平和の願いを訴え続けることができたのは、この火のおかげだったのかもしれません。故山本達雄さんから受け継いだ意志(平和の火)は、新しい時代になっても力強く、そして優しく、これから私たちが歩んでいく未来へ、平和の道標になってくれると信じています。

今回、「平和の塔」建立30年記念事業として、本学園にある「原爆の火」の原点である福岡県八女市星野村から愛知県豊橋市桜丘高等学校までの道のり(約900㎞)をリレー形式で走破しようという企画を立ち上げました。それが、「ピースリレー900」です。総勢18名の生徒たちと教師・関係者の約10名が、約2週間かけて核兵器廃絶や世界平和を訴えながら、自転車でピースリレーを行いました。「平和の塔」建立30年を機に星野村と桜丘学園のつながりを再確認する企画になりました。

 

『100円玉でピースリレーの応援を!!』

2019年度1学期終業式に高校全校生徒に投げかけた「100円玉でピースリレーの応援を!!」のスローガン。企画運営の応援資金として生徒たちに100円玉募金を呼びかけたところ、総額、約9万円の金額が集まりました。その中で生徒たちとのやり取りを1つ紹介します。

「夏休み中に僕はホームステイに出かけてしまうので、募金当日は学校に居ません。だから今、100円を持ってきました!思いを込めるからちょっと待って下さい!」これは、終業式終了後の職員室の光景です。ゆっくりと開かれた手の中には、思いが込められた100円玉がありました。純粋さと優しさに包まれた、なんとも美しい100円玉でした。

このように一人一人の「平和への意志」が込められた100円玉は、建立当初に呼びかけた「100円玉で平和を」の合言葉で集めた100円玉同様、とても価値のある100円玉になったはずです。

(1992年、建立3年を記念して、本学園「平和の塔」をモチーフに作成された合唱構成「遠ざかるまい この火から」の中から抜粋した歌詞です。この合唱曲は、10月14(祝・月)に行われた「平和の塔」建立30年記念式典「夕暮れ平和コンサート」で披露されました。数十年ぶりに作曲家の藤村記一郎先生により指揮を振って頂きました)

 

時代は変わっても「ALL桜丘」で挑む教育活動

企画を実施するに当たり、金額的な問題、健康上や安全上の問題など問題は山積みでした。大きく圧し掛かってくる責任によって、私自身が精神的に不安定になることもありました。そんな時に、後押ししてくれたのは、保護者のみなさん応援です。本校の教育活動に対するご理解とご協力が大きな追い風となり、企画の運営・成功へとつながっていったと感じています。

父母の会理事会では、訴えかける言葉に耳を傾け、涙浮かべてくださる方がいたり、「私は炊き出し手伝うからね」と会終了後に駆け寄って声をかけてくれたりしました。「私も企画に参加するから先生も頑張ってよ」と心強い応援を頂いたこともありました。父母懇一泊研修では、支援金募金を行い、金銭的な支援もして頂きました。本来、教育活動は、生徒=教師の関係性の中で行われるものです。しかし、本学園では、生徒=教師=保護者が手を取り合って教育活動を行っています。建立当時も多くの保護者の皆さんの協力があったと聞いています。時代は変わっても、桜丘学園と保護者との関係は不変です。一番身近で、一番心強い支援者である方たちとの関りを今回も企画を通じて確認できたような気がします。 最後まで私たちの教育活動を信じて応援して頂き、本当にありがとうございました。

D区間では、台風19号の影響の為、予定が変更されてしまい多くの方にはご迷惑をおかけしました。この場を借りてお詫び致します。

 

 

 

若い世代が未来に繋ぐ、高校生の力は無限大

このピースリレー900の告知をした所、参加希望を申し出た生徒は約20名近くいました。様々な都合で実際に走ることになったのは、18名の生徒です。このメンバーと一緒に、福岡県八女市から愛知県豊橋市まである900キロの道のりを4区間に分け、A~C区間は4名、D区間は6名の生徒たちが核兵器廃絶と世界平和を訴えて、「平和のたすき」を繋ぎました。

ピースリレーの1日の走行内容は、1日平均80キロ、生徒2人、教師1人が1組となり、組を変えながら次の地点までたすきをつなぎます。それを何度も繰り返して、宿泊地点(1日のゴール)を目指します。多くの山々を乗り越え、夏の暑さに耐えて無事に豊橋までたどり着くことができました。

A区間、C区間の生徒たちの様子を例に挙げ、頑張りと成長の記録として特筆して紹介したいと思います。全体を通しての様子は、学校HP(予定)や現在作成中の記念冊子(案)をご覧ください。

【A区間生徒の活躍】

A区間は、野口、平田の自転車部コンビが活躍し、一緒に走っていて担当者として心強く頼りになる存在でした。事前の自転車メンテナンスも自分たちで行い、準備にも力を入れていました。走行中の野口のコース取りは、自転車素人の私たちが安心して付いていけました。おかげで気持ちの良いサイクリングデビューをすることができました。メンテナンスに関してはすべて平田が行い、途中パンクするハプニングもありましたが、動じることなく短時間で修理してしまうほどの腕前を持っています。

心配された道上、谷口の二人は自転車部の2人に負けない走りを見せてくれました。事前に本宮山を自転車で登って準備をしてきた道上。自転車初心者ではあるが、弱音を吐かず淡々と自転車をこぐ谷口の姿は立派でした。その姿を見ていると、大人である私たちの励みにもなりました。

広島県宮島行フェリー乗り場で休憩した際には、「私も被爆者です。頑張って下さい」と声をかけてくれる方がいました。生徒たちは、このような出会いや声掛けを通じて平和について真剣に考えるようになり、日を重ねるごとに、背負っているものの大きさを実感するようになりました。

「自分たちのような若い人が戦争について学び、人に伝え、繋ぐことが大切だと思います。平和とは何かを考えた時に、自分は、毎日の日常が当たり前にあることが一番の平和だと思います。平和とは何か、今後自分たちが何をすればよいのか、わかりました。」今回のピースリレー中、多くを語らなかった谷口の感想文に書かれていた言葉です。

【C区間生徒の活躍】

C区間は、2年生のみのチーム編成となりました。これまで3年生が、各区間を走り繋いできた「平和のたすき」を2年生が受け継ぐ形になります。2年生は、総合的な学習や修学旅行を通じて、様々な平和学習に取り組んできました。これらの学習を通じて、平和への関心が高まっている時期に、このような企画ができたこと(行動に移せたこと)は、彼らにとって大きな経験となり自信につながる活動に

なったはずです。京都到着式では、NPO法人アースキャラバンの職員の方に出迎えて頂き、これまで走ってきた感想を求められました。4人の生徒たちは次のように発言しています。

回を重ねるごとに、各地で求められるインタビューや感想の言葉の中に、生徒たちの自信を感じるようになりました。ピースリレー後半になると「平和とは何か」という、大人でも言葉に詰まって戸惑ってしまう質問にも生徒たちは「自分たちの意志」を込めてしっかり語れるようになりました。

【この言葉の中に高校生の可能性を感じた】

ピースリレー900出発式で実行委員長の戸澤は、新聞の取材に次のようなコメントをしています。「修学旅行で戦争体験者の話を聞き、平和への思いを強くした。“戦争はいったん始めたら止められない、だから始まる前に止めないと”という言葉が心に残った。この言葉を胸に刻んで走りたい。」

この言葉を聞いて、「若い世代が未来に繋ぐ」という高校生の可能性を感じました。この言葉を信じて「絶対にこの企画を成功させなくてはいけない」、教師として決意をした瞬間でした。

 

生徒たちと共に繋いだ、「平和」への決意

2019年度、夏。一生の思い出になる体験をさせてもらった事に感謝したいと思います。そして、怪我なく、病気なくここまで歩みを進めることができた事、互いに支えあいながら、生徒、教師、父母が一丸となり企画を進めることができた事を報告したいと思います。

この夏休み中、熱中症や交通事故などのニュースを耳にするたびに気持ちが落ち着きませんでした。毎日がナーバスな気持ちになり辛い日々が続きました。「安全第一」、「健康第一」。常に頭の中では、この言葉が飛び交っていました。

そんな時に支えてくれたのは、生徒たちの笑顔と勇気、そして先生方の安心感と信頼感でした。参加した生徒たちは、いつも笑っていました。勇気をもって一歩踏み出し、企画に参加してくれました。一緒に走った先生たちは、どんな時も僕を信じてくれました。そして、一緒に走る生徒たちの安全を安心して任せることができました。ピースリレーはチーム戦です。このような壮大な企画は、絶対に1人でできません。1人でできないことも、みんなでやれば可能性が広がります。互いに支えあったから、ここまで歩みを進めることができたのだと思います。

「平和とは何か、自転車で走っている時に考えて下さい。」ピースリレー900壮行会の中で生徒たちに投げかけた満田康一理事長からの課題でした。「生徒たちは何を考え、自転車を走らせたのでしょうか?」是非とも、この夏、大きな行事をやり遂げた彼らの言葉に耳を傾けてほしいと思います。1まわりも2まわりも大きく成長した彼らから発信される平和に対するメッセージは、自信に溢れる説得力のある言葉になっているはずです。

 

■願えば叶うのではない、「行動」することで何かが変わる

学園の「平和の塔」が存在する限り、桜丘学園から平和を発信していきます。

広島原爆の残り火を持ち帰った山本達雄さんの意志を後世に伝えていきます。

「憎しみの火」から「平和の火」へ、原爆の残り火の本当の意味を伝えていきます。

私たちは、以上の想いを誓いの言葉として、これからも生徒たちと共に行動し、「当たり前のことが当たり前に言える」環境をつくっていきたいと考えています。今回の企画によって、「平和への想い」は「平和への決意」に変わりました。全世界から核兵器がなくなり、全世界の恒久平和を願っています。そのために、私は小さな「行動」を起こし続けます。(2019.11.22)

平和の塔

A区間星野村平和の塔

B区間原爆ドーム前

私のベストショット

平和の想いを背負う

C区間到着式

D区間到着式にて

夕暮れコンサート

ピースリレー参加者全員集合

 

たくさんある学校の中から「桜丘」を選ぶということ  ~いつの時代も「face to face」が桜丘流~

中学3年生とは、長い人生の中で、なかなかの節目の年である。義務教育を終え、いよいよ高校への進学を控える大事な一年。周りの大人たちは「○○高校に行け!」「とにかく公立にして!」「私立なら○○にしてね」など、良かれと思って勝手なことを言ってくる。善意なアドバイスと受け止めたいが、反抗期も手伝って、つい、逆らいたくなるのが本音ではないか。

そんな年頃の子供たちと日々関わっているからこそ、私たち桜丘の教員は、毎年中学3年生に学校説明会等でシンプルなアドバイスをしている。

① 体験入学には、必ず複数校行こう → 校内の雰囲気を感じてみることが大事

② 行きたい学校の4つのポイントに注目しよう

→ 「高校」と名の付くところはどこも大きくは変わらない。だからこそ基本の4つのポイントを確認することが大事

○学習 ○部活動 ○進路指導 ○自主活動

③ 必ず自分で意思決定しよう → 周りのアドバイスを受けながらも最後は自分で決めることが大事

以上3つのシンプルなアドバイスを意識して学校選びをすれば、概ね自分に合った学校に出会える。大抵の桜丘生は入学後、選んだ理由を次のように答える。

○ 体験入学の時に、先輩たちが笑顔で優しく案内してくれた。

○ 先生と生徒の距離が近くて、楽しそうだった。

○ 体験授業がすごく楽しかった。

○ 体験入学の全体会では、生徒たちが司会や進行をしていてカッコよかった。自分もあんな風になりたいと思った。 など

つまり、高校を選ぶ上で体験入学が大きく影響する。実際に学校内に入って、雰囲気を感じてみて、どんな先輩が、どんな先生がそこで暮らしているのか。肌で感じてみることが一番いいことを体験入学は証明している。

桜丘はいつの時代も「face to face」、直接会って、面と向かって、同じ場所にいて、何事も取り組む。それに勝る教育的価値は他にないと確信している。

たくさんある学校の中から「桜丘」を選んでくれることに感謝し、「よし!やってやるぞ!」と意気込んで教育活動に邁進し、卒業時に「桜丘で良かった!」と言わせることが私たちの強かな目標であり、最高の喜びである。

竹内貴美

桜丘高等部ここにあり!~手塩にかけて6年間育てます~

「企業探究プログラム」

1年生は総合学習で企業活動について学んでいます。メニコンのインターンの生徒は「生きる喜びの実現から五感を満たす新事業」を考えています。自分たちの「生きる喜び」について考えてみると、初めは「ゲームを思う存分しているとき」や「休みの日にゆっくり寝ていられるとき」という表面的な意見しか出なかったが、話し合いをしていく中で「成長を感じるとき」という事に気づくことができました。

戸惑いながらも自分たちなりに「五感を満たす新事業」を探しています。今検討しているのは、離れた場所で家畜に関わることができないかというものです。育てる喜びと、食肉として命をいただくという事が五感を満たすことではないかと検討しています。誰も「利用してみたい」と思える新事業を提案するために検討会議を重ねている生徒たちの成長が楽しみです。

「 Oh! grano 」

2年生の有志3名は豊橋糧食の大麦粉を使った新商品作成にチャレンジしています。健康効果が注目されている大麦ですが、その調理方法や特長は何もわからない状態で商品開発が始まりました。大麦粉の歯ごたえや食感を知るために、様々なものに混ぜて試作品を作り試食会を行いました。何度も試行錯誤する中で大麦のデンプン質の少なさに気付くことができ、モチモチとしたものではなく硬さを活かす商品を考えることにしました。そして、彼女たちが考えた新商品は、ザクザクとした食感のイタリアの伝統菓子ビスコッティに大麦の健康効果をプラスした、「 Oh! grano 」です。大麦の“大”は発音が似ている“Oh!”に、“麦”はイタリア語で“grano”となるので Oh! grano と命名し、大麦を使った驚きの新ジャンルという思いも込めているそうです。現在は、いろいろなフレーバーを試行錯誤しています。新商品が発売された時の生徒の表情が楽しみです。

「英語でのプレゼンテーション」

11月18日、3年生は英語でのプレゼンテーションに取り組みました。ある班は、任天堂についての発表を行いました。“What kind of games did you play childhood ?”の問いかけから始まる発表は、多くの人の注目を引き付けていました。他にも、“Who is the most popular character ? 1. Kirby 2.Princess Peach 3.Yoshi (Yossy)” などの任天堂に関する3択クイズをいくつも用意し、説明を聞かせるだけの発表ではなく発表者と聴衆のコールアンドレスポンスを大切にした発表になっていました。中学1年生で初めてプレゼンテーションをしたとき、原稿を読むことに必死だった生徒たちが、英語を使い会場の一体感を作る発表を見せてくれました。

中学の頃からミュージカルや総合学習を通して人前で発表する経験を重ねてきた3年生だからこそできる発表だったと思います。ここで身につけられたことは、大学や社会で必ず役立つときが来るはずです。(文責:川端)

「伝える、伝わる、おもしろさ」

 

「英語で自分の思いを伝えられるのって面白い。」そう私に体験させてくれたのはこの桜丘中学校がきっかけです。桜丘学園を卒業し、再び母校で働かせてもらうようになり、学生の時とは違った視点で英語教育というものを考えています。

私自身、英語を好きになったきっかけの1つ、国際体験DAYから紹介します。1日中英語を使って過ごす日で、毎回異なる国出身のゲストを呼び、クッキング、ゲームやプレゼンテーションを通して生きた英語を体験することが出来ます。日々勉強している、自分の英語力を試せる場の1つです。生徒は実際に体を動かすことが好きです。前回はウクライナからのゲストで座学だけではなく、ヨガレッスンを英語で受けました。ゲストからの英語の指示で体を動かしながら、たとえ知らない言葉が出てきても、見ながらなら、体を動かすことができます。ヨガのポーズで体が伸びているのを感じながら、耳には次の英語の指示が入ってきます。まさに、言葉通り体を使って英語を学べました。生徒にとっては、いい疲れと、発見がありタフな1日の体験です。教員になった今の私にとっても、新しいことを知ることのできる、発見の機会です。

もちろん、英語に触れられるのはこの国際体験DAYだけではありません。桜丘中学は毎日が英語です。授業はもちろんですが、朝10分間のネイティブのライブトーク”English Shower”も欠かせません。生徒のリクエストした曲から始まり、覚えてもらいたい単語やフレーズ、ジョークや最近の出来事など、話題は多岐にわたります。入学したての1年生にとっては、最初は頭の上に「?」が浮いているのが目に見えるようです。でも、最初はそれでも良いのです。はじめはわからなくても、少しずつ「わかる」ようになってきます。名前の通り、毎日英語のシャワーを浴びていくことが大切です。

私が在学中、英語を使う楽しさ、外国語で思いが伝わるうれしさ、をたくさん体験させてもらいました。だからこそ、教員になった今、中学生に同じように、様々な体験を通して、学ぶ面白さ、伝わるうれしさ、使える喜びを感じてもらいたいです。(文責:森)

3年B組 藤田宗久

桜丘中学校は、日々たくさんの英語と触れ合うことができる学校です。毎日朝10分間、イングリッシュシャワーで英語の会話を聞けたり、英会話の授業ではネイティブの先生が会話中心に授業をしてくれます。そのおかげで、僕もリスニング力がすごく伸びたということを、ニュージーランドホームステイで実感することができました。とにかく先生の指導がとても熱く、自分のわからないところは、じっくり丁寧に教えてくれます。僕は、昨年英検2級に合格することができました。今は、準1級に向けて勉強中です。中学3年間を通して、本当に英語力がついたと思います。それ以上に、英語で会話することが好きになりました。これからも、英語の勉強を頑張っていこうと思います。

好的 ~南京師範大学付属中学より二人の先生方をお招きして~

桜丘は、中国にある南京師範大学付属中学と提携しており、その歴史は30年以上になります。毎年中国から教員が桜丘に来られ、桜丘からは生徒が交流をしに南京を訪れます。今回はその交流の一環として、2名の先生が来日され、桜丘で1週間を過ごしました。桜丘にはいろんな国籍の生徒がいます。その中で4名の生徒に中国の先生方と交流をしてもらいました。尚、当座談会は中国語で行われたため、本校教員が翻訳しております。

鈴木 「それではまず自己紹介をお願いします。」

顧   「私は、顧琳婧といいます。中国の天津から来た留学生で高校2年生です。」

伊藤   「私は、伊藤美婷といいます。海南から来ました。高校2年生です。」

越   「私は高校1年生の越菲颺です。北京の出身で1年間の留学生として来ています。」

張   「私は哈爾濱出身の張維佳といいます。高校2年生です。」

江先生  「私は南京師範大学附属中学で数学を教えています、江衛兵といいます。」

曹先生  「私は南京師範大学附属中学で化学を教えています、曹云軍といいます。毎年桜丘高校とは交流があり、ここに来ることができて本当に嬉しいです。」

鈴木  「日本に来て何か大変だったことや驚いたことありますか?」

顧   「車の走行車線が右と左で中国とは反対だったことです。」

鈴木   「そういえば僕が中国へ行った時、電気自転車に何度も轢かれそうになりました。」

伊藤   「私は、街が綺麗でトイレも綺麗で中国と日本を比べると特に変化が大きかったので驚きました。」

曹先生  「でも、今中国でも少しずつ変わっているよね。南京ではたくさんの木が植えられていたりもするんだよ。」

越   「私は、通っている校舎がスリッパを履き替えることです。驚きました。」

江先生(曹先生)「高校卒業後はどういった進路を考えているの??」

顧   「早稲田大学を考えています。」

曹先生   「早稲田大学は良い学校ですね。毎年南師附中からも行きます。」

伊藤   「私はこれからも日本にいるつもりです。」

越    「私は1年で帰ってしまうけれど、日本の大学へ通うかもしれないです。」

江先生(曹先生)「高校の中国語の授業や、他の授業はどうですか?」

顧・伊藤「とても易しい内容です。」

越   「日本語の勉強は中国でしていましたが、上手く交流できないです。文字を見ても理解できません。理科の授業の元素記号も日本語なので大変です。良い授業なんだろうけど聞いていても何を言っているかわかりません。」

張   「私は日本史のテストで88点を取ることができました!!!」

座談会を終えて

中国人の先生方が何より本当に楽しそうで、全然話足りないのではないというぐらい最後の最後まで会話をされていました。今回、このような形で座談会に参加をし、普段の学校生活では日本語を使っている生徒達ですが、中国語を話す様子はやはり生き生きとしてリラックスして会話しているように感じました。この交流がこれからもずっと続いて欲しい、と改めて感じる時間でした。(文責:佐野)

以下参加メンバー

南京師範大学付属中学

江衛兵先生

曹云軍先生

 

桜丘高校生徒

顧琳婧さん

伊藤美婷さん

越菲颺さん

 

桜丘高校 教員(国際交流部)

鈴木順久先生(国際交流部長)

佐野隼大先生(中国語教員)

齋藤聖也先生(国際交流部員)

 

最高の「モチベーターに」

夏に男女、全国アベック優勝を果たした日本拳法部の顧問である、河合雄史先生にインタビューしました。

 

「部活動づくりで大切にしていることを教えてください。」

顧問になった5年前、3つの教訓を作りました。『素直な心』『謙虚な心』『不屈の心』です。これは常々生徒にも言っている言葉であり、道場にも掲げてある言葉です。失敗しても大丈夫。間違いをしても大丈夫。でも、きちんと「ありがとう」「ごめんなさい」が素直に言えることが大切です。そして、どれだけ強くても、全国優勝しようとも、それは人を評価する1つの基準にしかならない。人は数えきれないほどのいいところを持っているはず。謙虚な心で、常に「人として」という気持ちを大切にしてほしい。あと、何度失敗してもいい。最後に成功すればいい。だからこそ不屈の精神でどんどんチャレンジをして欲しい。諦めずに頑張って欲しい。そんな想いで3つの教訓を作りました。また、常に変化がなければならないと思っています。強い時代にやっていたことをずっと大切にしていれば、必ず弱くなる。常に変化を求めています。

 

「優勝できた理由は何だと考えますか?」

生徒1人1人の個性を徹底的に分析することです。必ず相性が出てきます。そのため、オーダーがとても大切になってきます。相手をリサーチするだけでなく、そのオーダーを出す相手の監督の癖も把握し、大会の度にメモしています。自分も競技者だからこそ、相手の弱点もわかるし、競技者として同じ視線で見れることはとても大きいと思います。

 

「入部してくる生徒は経験者が多いですか??」

2割くらいが経験者で、あとは高校で始めた子が多いです。例えば、この優勝した5人も、3人が経験者でした。経験者とは言っても、その内、2人は賞も取ったことのない子でした。決勝で当たった相手は、優勝常連校で、小さい頃から習っている子も多いと聞いてます。

 

「顧問として大切にしていることは何ですか?」

優勝できるかどうか、強くなれるかどうかは「気持ち」が大切だと思います。なので、試合が近づいてくるとモチベーションビデオを作って見せています。

 

「モチベーションビデオとはどのようなものですか?」

毎年テーマをつくって、それに合うように作っています。今年はイチローの引退会見を切り取って伝えたいことをまとめました。イチローは、「とんでもないことをするには、小さいことを積み重ねることが大切。いい時ばかりでない。もちろん失敗もある。勝てないときもある。」と語っていました。生徒はこの言葉を聞いて、きっと振り返り、乗り越えてきた経験を思い出します。これのいいところは、選手だけでなく、その他の応援の部員も同じ時間を共有し、同じ方向を見れることです。顧問として大切なことは、生徒、選手の「モチベーターになること」です。

 

 

日本拳法部、全国優勝おめでとうございます。このインタビューを通して改めて教員として大切にしていかないといけないことに気づかされました。インタビューをしていて、教員として、顧問としてとても勉強になりました。これからも日本拳法部のみなさん、そして雄史先生、頑張ってください。(文責:齋藤)